2016年6月14日火曜日

偽りのスラッガー。

「サウスポー・キラー」を読み終えた直後、古本屋の100円均一の棚にささってるのを発見、即購入したのは水原秀策「偽りのスラッガー」。これをイッキ読み(^^;

舞台は「サウスポー・キラー」の数年後、同一リーグの別チーム。今度の主役はバッターだ。

大怪我で現役引退を余儀なくされた元スラッガー。そこに現役復帰の依頼が舞い込む。ただそれは戦力としてではなく、チーム内に蔓延していると噂されるドーピングについての調査を行う「スパイ」として。
ドーピングの話もわりかしタイムリーではある。

はたしてドーピングをやっている選手はいるのか。いるとすれば誰なのか。その方法は?
黒幕はいったい誰なのか。そして元スラッガーの想いは。
「偽っている」のはいったい誰なんだ――。

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前作同様、ミステリとしてはまあなんとなくそんな感じかしらという結末。なのでぐるぐる回る展開にもそう驚かなかった。謎が明かされるシーンは「野球選手なのに名探偵かよっ」って言いたくなる(笑)。でも楽しかった。

やっぱり野球の描写なんだろうね。そこが適度にはさまってくるから、全体のリズムとしてまるで本当の野球のような「間」が生まれて、最後まで一気に読んでしまうことになるのかもしれないな。
ちなみにこの「間」の話は作中にも取り上げられてる。そのあたり、何冊か読んだ堂場瞬一の野球小説にも同じような空気を感じる。

プロスポーツの世界で生きる人というのは多かれ少なかれエゴイスティック。そんな中、「いつでも敬語でしゃべる小説家の恋人」が、すごくいいバランサーだったなと思います。魅力的な登場人物でした。

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