キョンキョンのオススメ第3弾、三崎亜記「となり町戦争」を読了。
『【となり町との戦争のお知らせ】開戦日9月1日・・』
町役場が発行する「広報まいさか」に書かれたその文言からすべてが始まった。
が、開戦日が来てもそこには日常しかない。戦争の音も匂いも影も何も感じられない。だが、役場から「偵察員」に任命されたところからすべての状況は動き始める。でもやはり感じられない――。
主人公も、そして読んでいる僕も、リアルが実感できない。そこに「ある」はずなのに、迫ってきているはずなのに、何も感じられない。主人公の「感じられない感じ」が伝わってくる。
リアルって何だ。
日常でありながら重苦しい描写が繰り返される。ページをめくる手が重い。
終章まで読み進めてふと思う。
戦争の形を借りているけれど、もっと本質的な、“人間の話”なんじゃないかと。
きっとそれは「愛」の話。
だが、物語はそこから予想外の展開を見せる。いや、予想外なのではない。想像できなかっただけだ。
見えかけていたリアルが、また見えなくなる。
・・
・・・
文庫版では終章の後に「別章」が書き下ろされている。読み始めは「これは冗長だろ」、そう思ったんだが、読み終えるとこれは「必要」だったと思えた。
0 件のコメント:
コメントを投稿