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手術前日、担当の麻酔科医から当日の手順の説明などを電話で受けた。
『アレルギーとか、手術歴とかおわかりになりますか』
「アレルギーの話は特に聞いたことはないです。手術については、そうですね、緑内障の手術をしたことがあるようには聞いたような気がしますが、ほかについてはまったく承知していません」
親のことなのに何も知らないんだな。
自らを卑下するような気持ちも出てくるが、わたしにとってはそれが普通のことでもある。
『わかりました。手術は負担が少なくなるよう万全の態勢で行いますので』
今は「よろしくお願いいたします」以外の言葉がない。
午後になって、今度は看護師の方から電話が入る。
『病室のベッドからおひとりで抜け出されまして、廊下でまた転倒されてしまいました。レントゲンの結果、骨折箇所に影響はなくて、明日の手術も予定どおりです』
驚かせないでほしい。
『何かあればナースコールをしていただくようお願いしてしいるのですが、なかなか覚えていただけなくて。現在はベッドにセンサーを付けさせていただいて、より注意を払うようにしております』
怪我のことも心配だが、生活環境が変わることに対する認知症の進行というのもかなり心配だな。老人ホームに戻れるまで数ヶ月かかるだろうし。
「わかりました。どうぞよろしくお願いします。それで、手術の翌々日の日曜日には面会にうかがう予定にしております」
『承知いたしました。ご家族に書いていただきたい書類もありますのでナースセンターにお立ち寄りください』
そして手術当日。
夕方になって「無事に成功しました」とナカムラ医師からの連絡が入る。
まあ術後のほうがいろいろと大変な気はするが、まずはひと安心である。
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