2026年9月11日金曜日

翳りゆくひと。[152]

 

[152]

わたしの元に、8月から使うあっちゃんの介護保険負担割合証が送られてきた。
念のため控えを取ってからあっちゃんの暮らす老人ホームに向けて投函した、まさにその日。

『お母様ですが、朝お部屋で立ち眩みされて、尻もちを』

老人ホーム、グッドライフ中央公園の看護師の方からの電話だった。

『痛くて動けないようにおっしゃいましたので、かかりつけの先生に相談して車いすで整形外科に行きましてレントゲンを撮ったところ、大腿骨の骨折が見つかりました』

典型的な年寄りの骨折だ。わたしと同居している義母が数年前にやったのと同じだろう。

「それで今は」
『はい、中央総合病院のほうを紹介されて、そちらに入院することになりました』

義母と同じなら、手術をして、リハビリ病院に転院して数ヶ月ってところか。わたしは頭の中でイメージした。

『後ほど病院のほうからお電話があるかと思いますので』
「わかりました。詳細はそちらを待ちます。いろいろとご面倒かけますがよろしくお願いします」

わたしは3年前の夏、マサさんが脳梗塞で倒れたときのことを思い出していた。
あのときはデイサービスのスタッフの方がいろいろと対応してくださったが、それでも手続きのために翌日には現地に行かなくてはならなかった。それに比べると「よろしくお願いします」と言うだけで、わたし自身が慌てて何かをしなくても問題がないという安心さはことのほか大きい。

午後になって、医師から電話がかかってきた。

『担当いたします整形外科のナカムラです。お母様ですが、診断は大腿骨頸部骨折ということになります。ケガ自体は重いものではないのですが、年齢のこともありますし、折れた部分をつないでも血流が行き届かなかったりするなどのリスクが大きいです。これまでは普通に歩いていらっしゃったということなので、また歩けるようになるために、大腿骨の折れた関節のところを人工関節にする手術を行おうと思います』

人工骨頭置換術というのだそう。予想どおりだ。

「はい、それでぜひお願いしたいと思います」
『手術は3日後の金曜日、15時半からを予定しています。執刀は私が担当します。おそらく1時間半ほどで終了する予定です』

それから手術に際してのリスクの説明などを受ける。

『翌日からはさっそくご本人には動いてもらってリハビリを始めてもらいます。およそ2週後にはリハビリ病院に移っていただくことなるかと思います』
「わかりました。よろしくお願いします」
『手術後にまたこちらからお電話させていただきます。』

人任せにしたと言ってもそのあともいろいろと確認は続く。

入院時のパジャマなどの手配をどうするかなどを老人ホームのスタッフさんと調整――病院指定のものを使うことでお願いをした。

さらにはあっちゃんの入院する部屋のランクの話を看護師さんと調整。
そこであっちゃんの様子も教えてくれた。

『病院にいることもよくわかられていないみたいで』

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