最初の3キロ、じゃなくて、最初のたった「3行」で心、持ってかれた。
理由は自分でもよくわからない。ただその世界に引きずり込まれてしまった、そんな感じでした。
『負けがこんでいる。そう思ったときには、たいてい手遅れだ。ギャンブルと同じように、人生も。ときどき思い出したように虚勢を張るのは悪い癖で、中身はただの小心者だ』
伊与原新「月まで三キロ」、表題作を含む6作(+1)の短編集を読みました。
伊与原さんが理系作家としてテレビで紹介されてるのを見て読んでみたくなって。
月、雪、化石、地層の堆積、星座と宇宙、火山・・。
理系といってもゴリゴリではなくて、自然の現象をうまく物語の中に取り込んでるなと。でもそれはあくまでモチーフでしかなくて、人の心の中や思いみたいなもの、答えがあるようなないような、答えが出るような出ないような、そんなところを絶妙に描いていて、なんだか「めっちゃ文系」なのです。感想ヘタクソごめん。
『わかることではなく、わからないことを見つけていく作業の積み重ねだよ』(「アンモナイトの探し方」より)
格好つけて、わかったような気になって。でも、なんにもわかってなかったなって気づいて。そうしてやっと汗がかける。
「アンモナイトの~」は物語は小学生の話だけど、今現在の歳だけは重ねている僕と何も変わらない。
そういう言葉が積み重なって、心の中に堆積していく、そんな一冊でした。良かったなぁ。
文庫収録のプラス1、「新参者の富士」もすごく沁みたね。
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『赤いライトを見つめながら、「まるでさ」と賢介は言った。「僕たちがエイリアンみたいだな」』(「エイリアンの食堂」より)
・・・キリンジっすな(笑)。♪遥か空にボーイング
ちなみに[↑ 月Tsuki 3Km]の道路標識は実在するんよ。浜松ね。豆知識。
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