麻耶雄嵩「隻眼の少女」を読む。
このミステリーのキーワードは「不整合」。
普通の感覚としては「違和感」と表現されるのだろうけど、そうした右脳的な(抽象的な)発想を排除した論理の下の「不整合」。
右目からのみ入る情報と左脳で処理された論理によってその不整合を見出し、事件を解決に導く――それが“隻眼の探偵”御陵みかげ、である。
右目→左脳の話はエセですよ、と本書にも書かれてますので念のため(^^;
古来からの伝説が残る山村で起こった猟奇的な事件の真相に、居合わせたみかげが挑むのだが、という話。
それにしても「みささぎ」なんて読めませんて。琴折と書いて「ことさき」とか、人名が難しすぎて頭に入りませんでしたがな。そのたびに冒頭に戻って読み方を確認したり・・・覚えろよ俺。
舞台設定、なんとなく金田一耕助を思わせるものがあります。といっても横溝正史はあまり読んでないので、僕の脳内にあったのは石坂浩二でしたけど(笑)。
そんなことを感じながら読んでたせいなのなぁ。事件の起こる屋敷の姿(見取り図とか庭の感じとか)や、容疑者のアリバイなんかがぜんぜん頭に定着しなくて。
だもんだから、途中から自分で推理してみるのは半ば諦めて、みかげがどういう不整合を見つけ、事件の真相に迫るかに注目して読んでました。
ところでこの探偵さん、完璧じゃないんですよ。後手を踏み、裏をかかれてしまう。うわー意外!!
となるとそこからどう「巻き返すのか」、そこに焦点が当たってるのかな、などとも思ったり。
事件の起こる琴折家には代々脈々と受け継がれているものがある。
一方で隻眼の探偵も世襲されてきた名。
世代を超えて受け継がれるもの。そして過去を上回っていくもの。そのあたりが本質だったのかも。なんて。
時代背景も、第1章が1985年、第2章が18年後の2003年という2部構成です。
といろいろ妙に考えちゃったミステリーでした。
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