ン十年前。子供向けに書かれた怪盗と探偵の対決の物語に言いようもなくワクワクしたものだった。あの時間が戻ってきた!!
てなわけで、乙一「銃とチョコレート」を読む。
怪盗ゴディバvs名探偵ロイズ。そしてその対決に深くかかわることになる主人公のリンツ少年の冒険活劇である。
タイトルの「チョコレート」はリンツくんの好物でもあるんだけどそれだけじゃなさそう。
彼の母はメリーさん、クラスメートはディーンとデルーカで、いじめっ子はドゥバイヨルで、あとはお隣りのモロゾフさんとかゴンチャロフさんとかガナッシュ警部とかブラウニーさんとか、まあつまりその、とにかく登場人物の名前が 甘~い 楽しい。
さらに楽しいのが、おそらくは意図しているだろう“ひらがなの使い方”っていうのかな。普通なら漢字にしそうな動詞や名詞に多めにひらがなを使うことで、なつかしい「少年少女全集」みたいなふんいきをつむぎだす。とにかくその表現手法がぜつみょうすぎて、それがむかしの少年少女がゆめみたであろう異国の風景によくにあう。
もちろんストーリーそのものもワクワクどきどき。
怪盗はどこにいる。
お宝はどこにある。
どんでん返しも当然あるし、衝撃的な場面もあるから、「謎の地図」のことも含めてこれ以上は書きませんけど、小学校の図書館で借りた本を読んだ、あのときの高揚感がよみがえってきたようで、控えめに言って最高でした。
そしてラストもすがすがしくて。
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でも読み手はずいぶんとひねくれた大人になってしまったね、と悲しくもあり(笑)。
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