2018年10月5日金曜日

計算ノートは通算10さつめ。

青柳碧人「浜村渚の計算ノート 8さつめ」「8と1/2さつめ」を読了。これでシリーズ通算10冊を読んだことになる。1さつめのときの読書感想文は→コチラ

「8」のほうはレギュラーシリーズで、いつものように天才数学少女と数学テロ組織「黒い三角定規」との戦いを描くもの――ってなんのことやら伝わらないだろうなぁ。まあいいか(^^;
鳥取でのアラビア的平方根の開き方の事件とか、港ヨコハマでのガウス平面の事件とか、キャラクターも含めて相変わらずおもしろいし楽しいし。そんでもってちょっと知的で。思わず紙と鉛筆持ち出して計算してみたりもしたよ。

「8と1/2」のほうは特別編とでもいうのか、レギュラーシリーズとは事件の性質が少し違う長編だ。

2つの場所で同時進行的に起こる事件――片方では横溝正史ばりの血なまぐさい連続殺人事件、もう一方では浅見光彦的ななんとか伝説みたいな監禁事件。

モチーフになっているのは数学ならぬ“算数”。つるかめ算、流水算・・・方程式を使わずに解く、あのやっかいな問題たち。

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予想どおり2つの事件は「つながっている」(この書き方ならネタバレになってないよな?)のだが、その解決がまずもって鮮やか。
まさか年表ならぬ時表、つまり時系列で説明されるとは。そういえば「時刻」のことはずーーーっとヒントとして語られてたね。あくまでもロジカル。算数・数学だもん、論理的じゃないと。

事件は解決した。が、「残った謎」・・・これも見事に解決される。つまり二段階の謎解きになってるなんて!!ミステリーとして快感以外の何物でもない。

ちょっと文中の言葉を借りたい(解説でも引用されてたんで、二番煎じですが)。

『ただそこにあるだけの数や図形に秩序を見いだして、感動して、伝えることができるって、人間の強さだと思うんです』

このシリーズの魅力を端的に表現した一文ではないかなと思います。たとえ「おじさんが買うのは恥ずかしい」表紙であったにしても。

というわけで、Have a nice math!

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