2017年6月8日木曜日

少女キネマ。

本屋で衝動買いした一肇「少女キネマ ~或は暴想王と屋根裏姫の物語~」を読了。著者名は「ニノマエ・ハジメ」と読みます。ニノマエ・・・あっ、あのドラマの登場人物!と余計なことを思い出す。

最初に書いておきますが・・・メッチャおもろい!!

主人公は友人の後を追うように熊本から東京・吉祥寺にやってきた大学生・十倉(モデルになった大学はおそらく五日市街道のほうのアソコ)。時代に取り残されたような安下宿の屋根裏から、なぜだか可憐な女子高校生が現れ・・・というところから物語は始まる。

この2人を中心に、下宿に住むユニークな者たち、それも映画(キネマ研究会)に関わる者たちが繰り広げる青春群像劇だ。
サブタイトルにもある「暴想」とは十倉が自らの制御できない妄想のことをそう呼んでいるわけだが、まあ若いころってそんなもんよね。いろんな妄想しますもの(意味深)。
暴想って、ブロガーにとっても聞き捨てならない単語ww

まずおもしろいのは言葉のリズム。昭和の空気をはらんだ言い回しなのに実は時代設定は現代。安下宿の空気にも、「キネマ」という語感にもよくマッチしている。

そのキネマ(=映画)が物語の重要なモチーフになっている。

映画は監督のものである。それはつまり、監督の暴想を形にする作業である。これに翻弄されていく登場人物たちの姿が実にいい。若いってステキ(笑&照)。

ぞわぞわモヤモヤわくわくハラハラどきどきキュンキュン。

映画について登場人物が語るとき、ものすごく印象に残るフレーズがたくさん出てくる。僕はそれをメモしてたわけだけど、ここに書くのはやめようと思う。
だって、この本、実は「ミステリー」だったんだもん。未完の映画「少女キネマ」に込められた謎が明らかになる大どんでん返し。完全にミスリードさせられてたぁぁぁぁ。

そしてさらに意外な結末へと・・・さらに最後の1行で心の奥がかきむしられるのだ。

おすすめっ。

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十倉の暴想の原点は高校時代にさかのぼる。余談だが、そうしたシーンには、いつもRCサクセションの『トランジスタ・ラジオ』が流れてたような気がする。

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