今回今さらながらに見てみた映画は「ナイトクローラー」、意味としては「夜を這い回る奴」みたいな感じかしらね。
パパラッチって言うのが正しいのかどうか。夜の街を徘徊しながら、事件現場に急行し、衝撃スクープ映像を撮影し、テレビ局に売るという商売。ひょんなことからこの商売に身を投じた主人公が、次第に真実と捏造の、あるいは報道と犯罪の境界線を曖昧にしていく姿を描く――。
とにかく主役のジェイク・ギレンホール(見るたびにすごいって思う→「ミッション:8ミニッツ」「エンド・オブ・ウォッチ」)の演技が強烈。ハンドルを握りながら狂気に支配されていく姿、そして狂気にまみれればまみれるほどどこか冷静冷徹になっていく目。
飲み込まれそうな怖さを覚える。
「俺は優秀なのに世間が認めてくれないだけ」。そう思ってるくせにすでに倫理というものをすっかり失っている、そういう奴が小さな成功体験をしてしまったときの過度な自信の持ちようが本当に「いけ好かない」。そしてそれがわかっているのに、視聴率という怪物に翻弄され、止めることができない買い手。
夜の闇に紛れるように、欲望が巨大化していく。
もっと、もっと、もっと、もっと。
ネタバレで大変申し訳ないんだけど、こういう「いけ好かない主人公」が、タイトロープを渡るときって、多くの場合「落下」していくところが描かれるし、当然そういうイメージはあった。
ところが、物語は僕の予想外の結末に向かっていく。
背筋が薄ら寒い。
そういう意味では、おばけは出てこないホラー映画だな。こいつは傑作なのかもしれん。
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