青柳碧人「むかしむかしあるところに、やっぱりしたいがありました。」を読了。
「むかしむかしあるところに、したいがありました。」の続編にあたります。
例によって一部漢字をひらがなに置換しています。すいません。
今回ももちろん日本むかしばなしをモチーフにしたミステリー集で、取り上げられたのはかぐや姫(竹取物語)、おむすびころりん、わらしべ長者、猿蟹合戦、ぶんぶく茶釜の5つ。
前作同様に、多様なミステリーの要素がてんこ盛りで、それぞれすんごく唸らされるものがありまくる。
たとえば「おむすびころりん」。タイムリープでさらに密室事件??どっちが探偵でどっちが犯人?・・・3回読み直したわい――結局謎は解けず(笑)。
たとえば「わらしべ」。視点を変えれば物語・事件はまったく違う顔を見せる――きゃーー!
それだけでなく思ったのは単純に「文章すげぇ」ってこと。とにかく読み物としてすごくおもしろくて、「このむかしばなしの“正”はこの本なのでは」と思うほど。
衝撃のラスト――ミステリーとしては「大どんでん返し」ね――はぞくっとさせられちゃうのよ。童話ってそういう怖さの側面もあるじゃない。
5編それぞれ本当に楽しい(ちょっと言い方が難しい。楽しいばかりではないので)話なのだけど、ちゃんと連続性のようなものが見えるのがまたおもしろい。
前の話について『こういう話があってね』と次の話で語られるようなリンクがあって、時間の経過というか、まさに伝承されていくむかしばなしってこういう感じかな、みたいな感覚も味わえる。
そしてラストの「猿蟹」と「ぶんぶく」は、それぞれ独立したミステリーでありながら、ひとつの大きなドラマになってる。
ネタバレ的に書いちゃうとそれをつなげてるのが「かちかち」だったりするのがまた!!
犯人もわかってるように見える。
動機も知らされてる。
だけど不可能犯罪になのか。これはヒント?
うわー!ぜんぶちがったーーーー!!(大笑・泣笑)
前作は『腹立つほどにおもしろかった』だったけど、今作も『ゾクゾクするほどおもしろかった』でした。
――夜よ、狸たちのために。
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