2023年12月27日水曜日

モンスターはどこまで行くのか。

井上尚弥、2階級での4団体王座統一!!

書いてしまえばこの1行。でもそれがどれだけすごいことか。
でも、さらりとやり切ってしまった。まさにモンスター。


前座試合をいっしょに見てた息子1号が「緊張するから明日見ようかな」と言うぐらいには大一番だった。
そして予想どおり2団体統一王者のタパレスは強敵だった。

サウスポースタイル、前後に大きく広げたスタンス、低く後ろ気味の重心と半身の構えは、タパレスの頭と体を常に井上から遠ざけ、一方自らは右の多彩なフックを井上に届かせる。
このフックが超やっかいで、野球で言うところの縦スライダーみたいな感じで「横フック」「縦フック」みたいな、出所と軌道がすごくわかりにくいものだったんじゃないかと想像している。浮いてくるようなパンチもあったし。井上の顎が上がるなんてほとんど見たことなかったもの。

さらには井上のラッシュを食らい、ダウンまで奪われても立ち上がって戦うことができる打たれ強さもあり、そもそもガードも高く固かった。
肩まわりの大きな筋肉もガードに寄与してたと思う。

おそらくだけど、直撃はできるだけ避け、ガードを高く維持して、井上に得意のボディフックを打たせて、そこに右フックを合わせる、という戦略だったんじゃないかと思う。

そしてその戦略は完璧なまでに遂行されてきた。はずだった。

なのに、決着は唐突だった。
いよいよ試合終盤、ガードをL字にして攻勢に出ようと目論むタパレスに対し、井上は教科書どおりのワンツーを打つ。ガードに阻まれる。もう一度ワンツー。これもガードされ・・・・なぜかタパレスが前のめりに崩れ落ちた。

「は?」

スローで見てもよくわかんない。2回目のワンツーは少しだけ狙いどころが変わって、すこしだけガードの隙間にねじ込まれて、少しだけテンプルをかすったようには見える。
だけどこれまでの試合展開からすると、「は?」以外の言葉がない。

ほんのわずかな隙間を打ち抜ける技術とスピード、ガードされてもダメージを蓄積させられる力、そして結局負ける要素がまるで見えなかった守備力。

モンスターは、やっぱりモンスターだった。
そしてどこまで行ってしまうのか。すでに僕たちの夢の場所は通り過ぎてしまっているのに――。




あ、前座の日本バンタム級タイトルマッチ(モンスタートーナメント)の堤vs穴口は猛烈にエキサイティングな一戦でした。
が、その後に井上を見ると、わかりやすくレベル差を感じるのよね。比べてごめん(^^;


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