2019年1月11日金曜日

さんぽニストの記憶、2019初春。

東京の城南地区に住まう者にとって、「呑川」(のみがわ)は、そこそこ生活の近くにある川だと言っていいように思う(あれ?そう思うの僕だけかな?)。といっても小川だけど。昨今は映画「シン・ゴジラ」で蒲田くんことゴジラ第二形態が遡上したことでも知られている(のか?)。
以前は“ドブ川”でしかなかったけど、最近はそういう印象はない。

というわけで、ふと「歩いてみるか」と思い立つ。

調べてみると京急蒲田駅近く、というか俺たちの大田区総合体育館の裏あたりから“旧呑川緑地”があることを知る。これはこの東蒲田から現在の河口までを整備して新呑川とした際に埋め立てられたものらしい。ならばここからスタートしてみよう。


緑地内の立て看板によれば、水源は世田谷区の旧深沢村(現在の桜新町あたり)。氾濫が多くて田畑を「呑み込む」、あるいは生活用水として「呑む」からとか、由来は定かではないそうで。
水運の交通路として活用され、河口は大森海苔の産地でもあったが、高度成長期に工場や住宅が増えたことで汚染された、という経緯がある、と。なるほどー。

遊歩道の両脇は、小さな工場(こうば、と呼びたい)が建ち並び、いかにも蒲田。「下町ロケット」の佃製作所が巨大企業に思えるほど、民家と同じサイズのとこが多い。
それにしても遊歩道でこれほどまでに“うねってる”とこって珍しいな。「川だったんだな」と実感すると同時に「こりゃ氾濫も多かっただろうな」と想像できる。

ひとしきり歩いて、やがて昭和島との間の運河に突き当たる。ここから運河沿いに新呑川河口まで歩いていく。並行する東京モノレールと首都高速、左斜め前には羽田空港。きれいに整備された遊歩道は実に気持ちがいい。この日が冬晴れで風もなかったからだとは思うけど(^^;

森ヶ崎公園を回り込んで河口に着く――そこらじゅうの埋め立て地と運河との区別がつかなくて、正直呑川沿いになったことに一瞬気づかず、戻って写真を撮り直した(笑)。


川沿いを歩き始めたのはいいんだけど、そこらじゅうで護岸工事やら橋の耐震補強やらがあってまっすぐに進めない。川をはさんであっち行ったりこっち行ったり、工場群の路地をふらふらふらふらと歩く。直線距離の倍以上は歩いたぞ。途中で知人の働く大きな会社の本社屋前に出くわし写真を撮影したり。

実は「橋は何本かかってるんだろう」と途中まで数えてたんだけど、そんなわけでまったくわからなくなってしもうた。

産業道路を渡ると歩きやすくなる。公園があったり、神社やお寺があったり。
時折川面をのぞき込むと、必ずそこには水鳥の姿が。いや、鳥の種類までは知らん(^^;
もはやドブ川ではない、ということだろう。

そして東蒲田まで戻ってきた。大きな三角形を歩いたってことね。


正面に見えるのは京急蒲田駅、その下が先日箱根ランナーが駆け抜けた国道15号線。ゴジラの上陸はこの少し先、とされている(笑)。

蒲田駅周辺はさすがに都会。両側のビルもマンションもでかい。その中でもひときわ大きいのが日本工学院だったり(^^;

蒲田から池上はわりと頻繁に歩いた経験があったりするので新鮮味はないけども、蒲田までと比べると工場というか会社の数が明らかに減ってきたと感じる。土地土地の特色なんだろうな。
池上通りを渡ると今度は池上本門寺を中心とした寺町になる。新年ということもあってか人が多い!
さすがに通り沿いのすべてというわけにはいかないけれど、いくつかにはお参りさせていただいた。今年はお願い事が多いもので(^^;

池上エリアを抜け、国道1号線(第二京浜国道)を渡ると、再び川沿いには「会社」が増えてきた。町工場というよりも、倉庫や大型トラックの駐車場を伴うようなものが目立つ。
あくまでも想像でしかないけれど、町の生い立ちに「水運としての呑川」があったのかな、などとも思う。

このあたりでふと思うことがあった。
主に日当たりのいい右岸(北東側)を歩いてたんだけど、大型マンションなどは主に左岸にあって、右岸には戸建てが中心じゃないかと。たぶん日照の関係なんだろうな。川幅がそれを可能にしているんだろう、と。

石川台で中原街道を渡る。葉っぱ一枚ついてない桜並木(むかーしこの近くに住んでたころ、まだスキーヤーとして現役だった時代、夏場のトレーニングコースだった)を抜け、住居表示が大田区から目黒区に変わり、そして東工大のグラウンドや校舎が見えてくる。


大井町線と目黒線の線路をくぐるように暗渠になった呑川。ここから先は「呑川緑道」として水源である桜新町まで続いてく・・・・あれ?

立て看板によると、呑川では「清流の復活」事業が行われており(石川台にもその碑が立ってた)、そのためこの暗渠に流れ込んでいる水は、高度処理された再生水とのこと。それも、なんと落合の処理センターから地下水路を使って!渋谷川や目黒川にもこの水は流されている。

ってことは、この先の緑道は暗渠じゃなくてただの遊歩道ってことなのかな。まあいいか、水路の上を歩けるわけじゃないし、さんぽニストはこのまま呑川緑道を進みましょう。

東工大のキャンパスに沿うように緑道は進む。一部は学生のトレーニングのための直線トラックとしても利用されている。

・・・なつかしい。

僕はずいぶん前に、この町に住んでいたことがある。当時のアパートの前を通ったわけではないし、何か町にスペシャルな思い出があるわけではないけれど、なんとも表現できない想いが心の奥のほうから湧き出てくる。ちょっとした気恥ずかしさとともに。

てなことを思っているうちに都立大学駅で東横線のガードをくぐり(らーめん店「あの小宮」のとこ)、目黒通りを渡っていく。緑道は大きく西に曲がっていく。
もう両側は高級住宅街と呼んで差し支えないだろう。

住居表示は八雲から深沢。いよいよ世田谷区に入る。

おしゃれな家、歴史を感じる家、ひたすらにでかい家、誰が買えるんだこの高級マンションは。
やっかみ半分で歩いていくと、駒沢通りに出る。すぐ左側は日本体育大学。余談だけど、日体大の英語名称はNippon Sport Science University、つまり日本体育“科学”大学なんだよね。

ここから呑川緑道は「親水公園」として再び水辺を歩くことができる――ドラマ「おっさんずラブ」の“聖地”としても知られている、らしい(巡礼っぽい人がいたぞ)。まああまり整備されているとは言い難いですけどね(^^;
少しでも流れがあれば本当に心地いい場所なのに。

石畳の模様がちょっと風変わりな幾何学模様で、目の錯覚によって道がうねっているように見えるのが気持ち悪くて上ばかり見て歩く。と気づかぬうちに国道246号線にたどり着く。親水公園はここまで。

歩道橋で国道を渡り、さらに進む。
一応呑川緑道の続きのようにはなっているけれど、大きなお家の玄関前のスペースのようにも見え、「居住者以外の車両進入禁止」という看板を見るにつけ、終点が近いことを認識する。


遊歩道の突き当りである。あ、撮影者の影が!

左脇の路地をまっすぐ進むとすぐに表通りに出て、そこが桜新町駅の真上。ということは、やはり呑川の水源を中心に新しい町ができたということなのかな、という想像をしてみつつ、桜新町で遊ぶという感じでもなかったので、今日はここまで。

ランチは池上エリアの某大手ハンバーガーショップ。冬場は牛丼屋で味噌汁飲んだほうがいいなと思うも後の祭り。
今回さんぽしたルートのGoogleマイマップ(プロットてきとーなんで正確ではありません) → リンク



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