2018年9月7日金曜日

終電の神様。

帯に『第9回エキナカ書店大賞』の文字が躍る。通勤電車の中で本を読むことの多い僕にとってはものすごい吸引力である(^^;

というわけで阿川大樹「終電の神様」を読む。ローカル線を描いた「D列車で行こう」もおもしろかったので、期待ワクワク。

終電に乗り合わせた人の心模様を描く、7つの短編集・・・・終電が絡む話はありますけど、「終電関係ないやん」ってのがほとんどで、そういう意味では“タイトルに若干の偽りアリ”、でしょうかね。神様っぽい奇跡の話でもないし。作家本人ではなく、編集者が売らんがために付けたタイトルのような気がする(^^;

読みやすい文章でさらっと読み終えてしまった。
共通するモチーフは、電車そのもの、そして事故、かな。

カバーのキャッチコピーを借りれば『この緊急停車からドラマが動き出す』

電車が止まるときはアンハッピーなことが起きているということ。人身事故とは、誰かの命がなくなるということだということを改めて突きつけられる。
そこに小さなハッピーが生まれればいいなぁ、そういう作品群という理解をした。

僕自身は通勤電車が緊急停止してしばらく動かなくなったという経験はほぼない(短時間のことはそれなりにあるけど)。
でもなんとなく車内の空気は想像できる。その描写がいい。

電車の中ってなんだか独特で、混んでるなぁとか寝過ごさないようにしないとって個人的な思いがあるだけじゃなくて、いろんなことを考える時間だったり、あるいは人間観察みたいなことだったり、ちょっとした苛立ちであったり、なんだか感情が振れる場所な気がする。僕だけかなぁ。

だからそういう場所で起こるドラマは、些細なことであっても十分に楽しめるものであったかと。

欲を言えば、7つの話がリンクしたりしてたら最高だったかな。

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ストーリーとは直接関係ないですが、お気に入りのフレーズをひとつ。
『真実は嘘くさく、ありがちな嘘には信憑性がある』

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あ、今思い出した。小学生のころ、寝台列車に乗っててとある駅で9時間(!)足止めされたことがあったよ。

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