2013年11月13日水曜日

20球がつむぐ20の物語。

若竹七海の葉崎市コージーミステリーシリーズは、その後「古書店アゼリアの死体」「猫島ハウスの騒動」「ポリス猫DCの事件簿」と計4冊を読み切った。2冊目の「アゼリア」が一番好みではあったけれど、最後の短編集「DC」もほんわかしてすごく気持ちいい読後感だった。総じてマル、でした。

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東北田中ゴールデンイーグルスの優勝で幕を閉じたNPB。不当表示優勝セールの話も含めて(毒)、こんなに野球の話を日常的にしたのはここ数年記憶にない。
ということでここは野球モノかと、シリーズ終了後に手に取ったのは堂場瞬一の「20」。「焔 The Flame」「ラストダンス」に続く、東京スターズの物語(前作を読んでたほうが人物像が明確になる人がいるのでオススメではあるものの、単体でも十分楽しめるかなと)。

江夏の21球」というノンフィクションの名作があるが、このフィクションはさしずめ“有原の20球”
優勝争いとは何の関係もないけれど、不意に盛り上がりを見せてしまったシーズン最終戦の最終回の20球を、20人の視点で語る。その着想自体がおもしろいと思った。プレイヤーや監督・コーチだけでなく、スタンドの客も、テレビの前のファンも、その1球に思いをめぐらせる。
野球って「間(ま)」があるから、見ている人がそれなりにいろいろ想像したり考えたり予想したりすることができる。そういう楽しみ方もある。そして現場の選手にとっても、考えることはできても、実際には何もできない――ピッチャーが投げないかぎり。

そんな雰囲気が実に野球的だなー・・・野球観戦的、かな。

そしてラストには・・・!!
相変わらず堂場瞬一の描く主人公はイライラさせてくれる。が、問題の20球目、彼の「純粋」とも言える思いが明らかになったとき、物語と読者の意識が溶け合う・・・ちょっとカッコよく言い過ぎだな。ロマンチスト全開な結末はアレだし(^^;

イッキ読み必至、です(とは言うものの、個人的には「焔」が一番好き)。

早く来シーズン始まらないかな~。

ところで、こいつも「マーくん」なんだけど、CSのファイナルステージなんかは複雑な気持ちだったんじゃないでしょうかねぇ。「俺のほうが昔っからマー君なんだぞ~(涙)」みたいな。

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