なかなか本屋に行く時間が取れなくて、読むものがなくなりそうで。そんなときのためにと本棚に大切に入れといた「ほむほむ」こと穂村弘のエッセイ「鳥肌が」を読み始めた。
例によってネガティブというか、後ろ向きというか、まるで僕自身と語り合っているような感覚が実に心地よい(←変?)。それが軽妙な言葉で綴られているのだからたまらない。
この本のテーマは「こわい」。だから鳥肌なのだ。
芸能人がテレビで安直に使う「鳥肌」レベルはなくて、もっと本質的な、心の奥底のほうで感じる恐怖が、あのブツブツになって表面化する、そういう「鳥肌」だ。
当然作中では “こわい” “こわくなる” “おそろしい” という語が頻出する。
明確にこわいものがあるというよりも、ふとした「ん?」という感触をじっくりと噛みしめてみたときに心の中に泡立つ恐怖。
ちょっとしたタイムラグを経てお尻がもぞもぞして鳥肌が立つ。短歌を交えて描く恐怖の世界(^^;
こわい。おもしろい。こわい。わかる。おそろしい。
中でも刺さったエピソードは、入院してる友人にお見舞いとして絵本を贈って絶交されたという話。
『「言葉」は意味から自由になることができない(略)必ず「意味」の解釈が入り込む。そこに致命的なズレが生じる可能性があるのだ。』
こ、こわい・・・。そうだよな、言葉って・・・。
あとね、僕自身が長年悩まされてきた(ホントはあまり悩んでない)高所恐怖症の正体がぁぁぁ。
『(略)突然スイッチが入って自分をぽいっとしたくなるかもしれない。「飛び降りる気はない」のに「絶対に飛び降りてはいけない」と思うと、マイナス×マイナスで実行してしまいそう、などと考える。おそろしい。万一そうなった時、「低い手摺り」とか「低い柵」では困るのだ。』
そうだ。高いところに「いること」がこわいというより、高いところから「飛んでしまうイメージ」がこわいんだよね。「飛びたくなる」と言い換えてもいいかもしれない。柵が低けりゃすぐに飛べそうでしょ(←伝わらんか)。
階段踏み外してくるぶしをゴリっと角にぶつけるなんてフツーにイメージしちゃうもの。
正体がわかったところでこわくなくなるわけじゃないけどなー(涙)。
ホントに自分と語り合ったような読書時間だった。
* * *
「こわくならないように」することが、僕の、特に仕事してるときの原動力かもしれない。
こわいから防御する。こわいことが起こらないように準備する。こわいけどこわいことが起こったときの予測をしておく。
『という訳で、私はこわそうな人やつらそうな状況に対する回避レーダーを巡らせて、いつもびくびく生きている。』
びくびく。
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