2020年12月18日金曜日

ファースト・ジェントルマン。

『君は総理になった。これは必然だ。しかし、君は男性ではなかった。これは偶然だ。そうだろう?』

なんだかいいなぁ・・・。

というわけで、原田マハ「総理の夫」を読んだ。

小さな野党の党首である「君」が、ある日「初の女性総理」に担ぎ上げられた日から大きく変わってしまった日常を、「僕」つまり総理の夫の目線で描く(日記を書いている、という体裁だ)。
最初の総理の夫だから、ファースト・ファースト・ジェントルマンだな(^^;

あくまでフィクションでありながら、社会情勢や抱える問題点など、確かに今の日本を色濃く反映している。
でもね、この小説ではそういうことはわりとどうでもいいように思うんだよね。
総理大臣、政治の世界という特殊な場面設定を使っているけれど、あくまでも「君と僕」の、純粋で美しいラブストーリーだと思ったんだ。
どっちにしても政治についてここに書き記すつもりはないんだが(笑)。

冒頭に引用したセリフは総理の夫のもの。この語り部たる夫のキャラクターが特にいいんだよなー。
ある意味浮世離れしてて、性格も実にピュアで、政界のようなギスギスした世界にはまあ似つかわしくない。
それでもすべては「君」のために。その一点に曇りなし。
おまけにオトコゴコロの描き方が抜群に上手。マハさんは女性なのに。

読み手である「僕」には、こういうラブストーリーは似合わないという自覚はあるものの、そんな僕でも読んでて本当に心地よかったんだ(照)。

『僕は、君を支えよう。そして、君についていこう。
凛々しく、たくましく、美しい君に。
どこまでも。』


作中、伝説のスピーチライター氏が名前だけだけど登場する。これは「本日は、お日柄もよく」から繋がるものだろう。こっちも読んでみようかな。

*  *  *

本作とは何ら関係ないんだけど、配偶者の呼称について、妻とか家内とか嫁とか奥さんとか、どう呼ぶ「べき」かについて、いろいろ言うじゃないですか。
なんだかめんどうなんで、僕の場合、他人には「妻」と言うようにはしてますけどね、本人「たち」が良ければなんでもいいじゃんね、とも思ったりします。

相馬家は「総理」なんで簡単でいいなー(^^;

0 件のコメント: