2019年3月8日金曜日

刑事さんは幽霊になった。

どこでオススメされたのか覚えてないけど、どこかでオススメされた有栖川有栖「幽霊刑事」を読む。
ミステリー界の有名作家さんだけど・・・読んだ記憶ないなぁ。書評とか解説は読んだことあるけど、本人の著作はたぶん初。

タイトルからすると、幽霊がその能力(?)をいかんなく発揮して犯人を追い詰めていく、そんな軽めなものが想像されたんだけど、読み始めてみたらちょっと違いましたわ。

確かに幽霊が事件を追うことはそうなんだけど、幽霊が刑事役をやるんじゃなくて、刑事が殺されて幽霊になってしまったという大前提。まさに死んでも死にきれない。成仏できない。

だから幽霊はもともと知ってますよ、犯人を。しかもそれは上司。って帯に書いてあるがな。

ただ幽霊だもんで、現世には関与がまったくできない。何かに触れることすらできない。たとえばそこにノートがあってもページをめくることができないわけだ。
もちろん、その叫びは届かない。

さあどうする。どうすればいい。

僕も一緒になって考えてしまった。うーん、考えてもやはりどうしようもないっすな(苦笑)。でも「まあそうよね」という方向に展開はしていく(^^;

とにかく文章が読みやすいんだ。過不足なく情景が浮かぶ。とっても分厚い本なのにどんどん読めるし、肝心なトコを読み飛ばさないように逆に苦労しちゃったかも。

そして――。

ミステリーなんで、これ以上は書かないけども、ラストまでたどり着いた後のこの余韻はいったい何事だ
この余韻をもたらす作者による“しかけ”(ナイショ)に脱帽。ミステリーにしてファンタジー。極上のエンタメでした。
相手を感じることのできない「ゴースト:ニューヨークの幻」みたいだった。

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