本屋さんで「これを読むべし」的に絶賛オススメされてたミステリ、天童真「大誘拐」を読了。
この文庫は2000年初版だけど、初出は1978年。古典と呼んだら怒られるかな。でも、オススメされてたのはそういうような意味だと理解した。
何せ「週刊文春ミステリーベスト10 20世紀【国内部門】第1位」なのである。どのぐらいすごいことなのか、想像もできないけど(^^;
ところがいつの間にやら要求額は100億円に跳ね上がり、世界中の大注目を浴びる「大誘拐」事件へと変貌していく。
はたして勝つのは和歌山県警か、それとも「虹の童子」か――。
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いやー、オモシロいっ。大エキサイティング!
とにかく「知的」という言葉がピッタリ。全体としては荒唐無稽な大サスペンスなんだけど、そのベースには戦略・知略といった大頭脳戦が存在している。これでワクワクしなかったらどうかしてる。
「虹の童子」側からすれば大冒険活劇と言ってもいいかもしれない。そうしたものに“一度はやってみたい”という憧れがないと言ったら嘘になる。
現在のような通信手段のない当時、たとえば犯人が要求を伝えるにはどうすればいいのか、それひとつを取ってみても「おおっなるほどっ」と思わざるをえない大アイディアが披露される。
身代金受け渡しという誘拐事件最大のヤマ場では、頭の中に紀伊半島全部を描きながら、登場人物の一挙手一投足に注意を払う――読んでるこちらも頭に汗をかかされる。
何箇所か「あっ、そういうことか」と気づいたところはあったけど、それがわかったところで大魅力が半減することはなかった。
読後感も実に心地よくて、そりゃオススメ作品だよな、と大納得なのである。
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