キョンキョンのオススメ第2弾、角田光代「人生ベストテン」を読了。特に特別なことのない、いわゆる市井の人々(主として女性)を主人公にした6本のオムニバス。
角田光代を読むのって結構久しぶり。最近は映像作品ばっかりだったから。
1話目から、何と言うか・・いやな感じ(笑)。
何もない。ただそこに人々の暮らしがあるだけ。
だけど、見えていない、見せていない何かも必ずそこにはあるのだ。
その何かとは人の心の動きそのもの。
人間誰しも経験のある「妄想」のようなものを、改めて文字で読まされる感覚。
ふと、「空中庭園」を思い出す。あの浮遊するような、乗り物酔いするような、そんな感覚が読み進めていくうちに湧いてくる。
人生とは他人と比べてしまうようなものではないはず。
それでも比べてしまう。並べてしまう。
もしかしてそういうことが、この「ベストテン」というタイトルに込められているのか。
だとすれば、やっぱ怖いわ、この作家。
想像してごらん。ベッドの中で自分の人生を振り返り、エポックメイキングな出来事をランキングする。「ベスト」と言いながら、素敵な出来事はもちろん、二度と味わいたくないあの体験も含めて。
コワイコワイ。
旅先で出会った人に向けて主人公が発した言葉。「明日、一緒に行動するの嫌です。」・・・すげえ。
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