2013年8月4日日曜日

デパートへ行こう。

本屋さんで「ローカル線で行こう!」を見つけて読んでみたいと思ったんだけど、まずはいわゆる第一弾からスタートでしょ、ということで真保裕一「デパートへ行こう!」を読むことにしたわけで。

ちょっとネタバレですがカンベンしてね。

序章を読み始めてすぐに思い出したのは、三谷幸喜の映画「THE有頂天ホテル」
そういう話なのかな。そう思うと期待と不安、複雑な感情がないまぜになる。

でも、ホテルは「元来24時間多くの人がいる場所」であり、デパートは「深夜は本来人がいない場所」という大きな差がある。それが設定の決定的な違いだと気づく。そうなれば現金なもので、盛り上がってまいりました~な気分で読み進めることができた。

そういえば子供のころ、東京から大阪に引っ越したときに、周囲の人が「デパート」と言わないのに驚いた記憶がある。「百貨店」なんやで。

深夜のデパート、そこは「闇」。その中でうごめく人々の姿、その目的と関係が少しずつ明らかになっていくとともに、少しずつ物語の明確な姿が映し出されていく。

気がつけば頭の中でデパート店内の地図すらだいぶ描けるようになってきた。ページをめくるスピードが上がってくる。

闇だからこそ起こる小さな誤解。疑心。
暗がりだからこそ語れる本当の自分。

やがて店内には少しずつ明かりが灯っていく。クライマックスは「昭和のデパート」を象徴する、あの場所――。

そしてそして、まさかラストにそんな重要人物が登場するなんて!!参りました。

読み始めのときの不安は完全に杞憂だった。
登場人物多数のわりに複雑怪奇ではないし、章の切れ目が目線の切れ目で読みやすいし(通勤電車向きかも)。それぞれの登場人物のそれぞれの「弱さ」みたいなものに思いを馳せながら読みきった。

なかなか面白かったし、シンパシーを感じる登場人物のセリフもあったし、考えてた以上に楽しめた。これで心おきなく「ローカル線」の旅に出れそうだ。

巻末の「解説」を読むのがわりと好き。今読み終わったばかりの本の感想を、同じ本を読んだ人と語り合うみたいで。今回は特に「そうそう、そうだよねー♪」って話しかけそうだった。そして解説を読みながら、確認のためにまた本文に戻ったり(^^;
ちなみにこういうスタイルのストーリーを「グランドホテル形式」って呼ぶんだそうだ(と解説に書いてあった)。なるほどー。
こんなにたくさんの主役がいて、作者は登場人物の人生をすべて考えてから書き始めるんだろうか。ちょっと聞いてみたくなった。


*  *  *

東川篤哉の旧作の「館島」も読了。現在のスタイルに通じるものはものすごく感じられるけども、烏賊川市シリーズなんかに比べると、軽妙さも本格さもちょっと足りない感じ(←上から目線ですいません)。でも着想は楽しく感じられたので(←上から目線ふたたび)、やっぱり好みなんだろうなとは思いつつ。

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