キョンキョンのオススメ第14弾、中村弦「ロスト・トレイン」を読了。
この文庫本にもキョンキョンの書評、再掲されています。
決められたレールを生真面目に走る鉄道に自分を重ねるのか、未知の自由な場所に運んでいってくれるんじゃないかと夢を見るのか、と。
僕は決して“テツ”ではありませんが、鉄分は少々濃い目なので、「どこかに・・」という気分はすごくわかります。
この物語も、そうした気分に包まれています。
序盤は若干とっつきにくい(笑)ディープな鉄道オタクの世界。でもそのひとりが失踪し、行方を探すあたりから物語はすっかりミステリー色が強くなります。
そして次第に明らかになってくるその行方こそがまぼろしの廃線跡、すなわち「ロスト・トレイン」。そこからはもう徹底的にファンタジー。
ネタバレですいませんが、鉄道ファンタジーというと、やはり「銀河鉄道の夜」だろうし、宮沢賢治といえば岩手。まちがいない。
後半のファンタジーな部分こそ、「自由な場所に運んでくるんじゃないか」と夢想させてくれる鉄道の魅力のひとつなのかもしれません。期待感と怖さが交錯します。
でもね、現実は現実なのです。
夢の世界との間にきちんと「線」を引こうとする主人公の考え方に、いたく共感するものであります。私はね。
鉄道モノだけに疾走感(進行がスピーディという意味ではないけど)があって、ぐいぐい読ませます。楽しかったです。
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