2016年2月26日金曜日

無銭優雅。

キョンキョンのオススメ第4弾、山田詠美「無銭優雅」を読了。

ふだんは恋愛モノなんて読まない。ましてや山田詠美なんて、キョンキョンにオススメされなければ手に取ることすらなかったと思う。

『心中する前の心持ちで、つき合っていかないか?』

このセリフだけじゃなく、この“人生の後半に始めた恋”に至る冒頭の数ページの文章ひとつひとつが、震えるような衝撃と納得感を連れてきた。

主人公の片方のように僕は恋愛小説を読まない。
もう片方の主人公のように、こうして僕は恋愛小説を紹介している。

現実感はない。ないけど、現実かのように錯覚する。双方の感覚が、わかる。それは「理解」という脳内の事象とは少し違う気がする。
そして、心中する前の心持ちが、こちらの心を揺り動かし涙を誘う。

僕自身の中にそういう感覚があったことがまずもって驚きなのだ。
そういう感覚の扉を開けてくれた一冊。ああ、この感覚は!!(と、詠嘆してみる)
ありがとう、キョンキョン!(山田さんでなく?w)

「文章好き」として、作中に現れるフレーズが気になると、メモ書きしたりあるいは写真撮影したりして(ブログ用に)記録しておくことが多いんだけど、この作品の場合その枚数が相当数になってて驚く。
作品そのものは女性目線ということもあってあまり上手に語れないので、いちいち唸ったところの一部をご紹介。単体で抜き出すと「なんのこっちゃ」だけどね(^^;

『大人になると運命と成り行きって、ものすごく似て来るような(略)運命に身をまかせるよりも、成り行きに身をまかせる方が、上等な所作のように思える』

『好いた男とカレーについて話し合う贅沢を享受する恵まれし者ですの。』

『・・・自分の内にあるものは全部差し出してみる。そると、次に差し出したいものが、新たに溜り始める。私の求めていた持久走が、そのくり返しで進んで行く・・・』

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