2024年11月16日土曜日

翳りゆくひと。[067]


[067]

老人ホームへの入居日が確定した。

あっちゃんが5月28日10時半。
マサさんが5月29日10時。

28日は火曜日なので、月曜・火曜と休暇を取れば、あっちゃんの引っ越しまで土日含めて3日間準備ができる。3日目は平日だから役所とか何らか手続きが必要ならその日に対応しよう。

マサさんのほうは、さくら老健に任せてしまっていいという話をいただいていた。家族のほうとして特に準備が必要だとも思えなかったので、それは甘えさせてもらうことにした。

あっちゃんの準備とマンションの片づけのために、今回わたしの妻が同行してくれる。
妻の予定を確認した上でで、往路の航空券と現地の宿泊3日分の予約を行った。
復路については、何があるかもわからないし、最悪翌日になるということも可能性としてはありうる。費用はかさむが当日予約することにした。

入居日までおよそ10日。
最後の週末は「準備のための準備」に忙殺されることになる。

あっちゃんの荷物。
入居にあたり必要なもののリストはグッドライフからもらっていたが、他に必要なものはないか、考えながら改めてリストを作っていく。洋服などもあるから、準備は女性同士のほうがいいだろう。現地での準備は妻に任せることにしよう。
あっちゃんの保険証類や飲んでる薬も必要だ。

契約のための準備。
マサさんあっちゃんの印鑑と住民票のほかに、保証人になるわたしの印鑑と印鑑証明が必要になる。自分の実印を見るのはなんだか久しぶりだ。

あっちゃんから預かるもの。
保険証類に加えて、マイナンバーカード、通帳やキャッシュカード、クレジットカードといった「金」関係。もちろんマンションの鍵も。
生命保険とか、そういう「大事な書類」は、ひとつひとつ確認しておく時間はないだろう。内容にかかわらず、すべてまとめていったんわたしの自宅に送ってしまうことにしよう。

ほかにもマンションの売却関連の準備とか、関連して電話やインターネットの解約のための書類の準備、郵便物の転送の届出書類の準備とか、リストアップするだけでわたしの頭はオーバーヒートしそうだった。
ただ、このリストがちゃんとしてないと、事態がスムーズに運ばないかもしれない。そちらのほうがリスキーだと考えていた。

そんな状態のわたしに、あっちゃんから電話がかかってきた。

『どこかに行くって言ったのかしら』

言ったよ。決めたよね。面談だってしたじゃない。

『もう少しここにいようと思うんだけど』

怒っているつもりはないけれど、ここは強く言わなければならない。
それはもうできないから。できないんだよ。

『いろいろ考えちゃうと眠れなくて』

わたしだって眠れない日々が続いている。
それこそ布団に入ると頭の中で段取りのシミュレーションが始まってしまってどうにもならないのだ。

もちろん、できることなら、丁寧にすべてを片付けたい。
でもそのために、自分の暮らしを蔑ろには、疎かには、できない。あたりまえだ。

矛盾するようだけど、どれもわたしの本音なのだ。入居まであと1週間。がんばれ。

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