2018年12月20日木曜日

相変わらず、不幸な女探偵。

シリーズ1作目「依頼人には死んだ」に引き続き、若竹七海「葉村晶シリーズ」3冊を一気に読んでみた。

相変わらず不運で不幸。探偵本人も、そして彼女にまつわる人々も。


2冊目、「悪いうさぎ」。これは長編。
重い。重すぎる。そして探偵は不幸すぎる。ただでさえ重苦しいストーリーを長編で読むってのはなかなかの苦行。でもやっぱりページをめくり続けてしまう。

ラストのラストで「うさぎ」の意味を知らされた後に感じる読後感の悪さたるや。ものすごくイヤなのに、嫌いにはならない。不思議。
きっと葉村が言う言葉にちょっと救われてたのかもしれない。
『人間どんなに偉くなろうと(略)全世界から大絶賛されるなんてことはありえない(略)ささいな問題にふりまわされる日常から逃げることもありえない。』


3冊目、「さよならの手口」。これも長編。
前作からおよそ10年が経過したという設定。アラサーだった探偵・葉村は、当然アラフォー。もともとが幸薄いところにもってきて、年齢とともに達観?してるところも出てきてるのか、なんだか不幸が不幸に見えなくなってくるというか。単なる読者側の慣れかな?
それでもやっぱり登場人物に幸せな人がひとりもいない。つらい。葉村は特に。何度気絶した?(笑)

エンディングでどんでん返しが!というのはよくあるけれど、この一冊の中でいったい何度どんでん返しがあったことか!(驚)
確かにいくつかの事象は並行してたが、それにしてもびっくりだった。
探偵がその昔、葉崎市(架空の海の町→「葉崎市コージーミステリーシリーズ」)の本屋で働いてたという設定を、著者から知らされて「ぬあー」と変な声を上げてしまう読者。


4冊目、「静かな炎天」。再びの短編集。
シリーズにずーっと流れている「不幸」という空気感が、やはり変わってきたんだと確信。
1冊目の短編で、結末が来るたびにざらついた心は、この4冊目においてはうなずいてしまうような感触があった。

最後に収録されていた「聖夜プラス1」という作品は、これこそ不幸・不運の極みだ。でもこれはシリーズの中で初めて“味わってもかまわない不幸”だと言えるかもしれない。読みようによってはコメディだから。

最後の最後に、シリーズのテイストがわかんなくなっちゃったんさ。
だって、ラストシーンで家路につく葉村、なんだか幸せそうだったよ

0 件のコメント: