演劇を見るという趣味はほとんどないと言っていい。
覚えているのは、おそらくまだ20代のころ、チケットを買わされて新宿あたりの小さな劇場に足を運んだことがある、ということぐらいだ。どんな話だったか、そのときどう感じたかなんてまったく覚えてないし、さらに言えばその「知人」とやらが何者だったかがそもそも思い出せないという・・・。お心当たりの方はご一報ください。全力で謝りますので(^^;
そんな僕がなんでまた劇場に足を運んだか。
それはまあ知人が出演しているからに他ならないのだけれど、今度は自分から行ってみようかなと思ったわけで、そこはずいぶん意味が違う。好奇心が刺激された、というのが大きいかもしれないな。
なんにしても、この年になって(事実上の)初体験というのは、なんかいいじゃないかと思ってる自分がいる。
* * *
見に行ったのは、“聖地ポーカーズTRAD「ブレメン」”という作品。ワンシチュエーションの5人芝居でほぼ出ずっぱり、ということは聞いてたけど、特に下調べもしなかったので、作品の内容のことはもちろん、何も予備知識を入れない、実にフラットな心持ちで赤坂Chanceシアターに向かった。
ビルの地下の会場に入ると、客入れなのにもう暗くって、そして予想以上に狭い。キャパは50~60ぐらいか。最前列と舞台はほぼ密着してて、これは見てる側もヘンに緊張しそうだ(笑)。
初心者なので(笑)、やや後方の隅っこ――といっても舞台上と普通の音量で会話できそうな距離だけど――にこっそり陣取る。だって、知り合いの出演者と目が合ったりしたらどうしよう、とか思っちゃうよ(^^;
プロデューサー氏の前説があって、暗転。
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・・・
どこまで書こうか。
すでに公演は終わってるけど、あんまりネタバレにならない程度にしとこうかな。
ビル地下に集められた「新規事業企画室」の5人のメンバー。会社の思惑の中で切り捨てられようとしている彼らは、はたして生き残れるのか。そのためには何ができるのか。そして未来は――。
「ブレメン」というタイトルには「Blurred Men」という英語が当てられているけど、やっぱり「ブレーメン」という単語が浮かんでしまう。そしてその予想は大正解だった。
生演奏の音楽に導かれるように物語が始まり、そして役名がそれぞれロバ、イヌ、ネコ、ニワトリだったりするので。あれ、あとひとりはなんだっけ?(ナイショ)
ざっくり言うと、タイムリープか。
今を、未来を変えるために、時間を戻す。けっこう複雑になりそうな話ではあるんだけど、これが不思議とすっと入ってくる。意外な展開に驚かされるけど、その部分で悩まされることはなかった。想像の範疇を出ないけれど、脚本の絶妙さと確かな演技力によるところが大きいのかな、なんて思ったり。
実は序盤の段階で役者さんの演技に少し違和感を持ってた。あれ?今の?何?みたいな。
その演技自体が伏線だったとは!
展開以上にそのことに驚かされた。すげぇ。
あとはもう舞台上の高いテンションの濃密なやりとりにただただ飲まれて、笑い(実際に観客の多くは声を上げて笑ってた)、集中し、すこしグッときて。
アドリブと思われるセリフもたくさんあって、ああ、これが舞台のライブ感なのだな、などと感激すらしてしまった。
これだけ濃密な内容なのに、配役を変える「スイッチキャスト」というのも行われているそうで、そのスキルに本当に驚く。何度も見るファンも多そうだ。
ラストはもちろん「ブレーメンの音楽隊」的に。
いやはや。参りました。すっげー楽しんじゃった。いやマジで。
カーテンコールのところで「撮影OK」のお時間になります(^^;
お誘いいただいてありがとう。これで演劇にはまるってのは個人的にちょっと考えにくいけど――いちからいろいろ調べたりしないとならなとそうで、そこはハードル高い(笑)――、また見てみたいな、そういう気分にはしてもらいました。
そんな休日です。
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