2011年5月24日火曜日

水を打つ。

以前、こんなネガティブなこと書いたけど、自分の見識の甘さを痛感しましたね。もしこの小説並に当事者の言葉が伝えられていたら、もっと違った目で見ることができたかもしれない。
ま、普通のマスメディアには無理だろうけどね。

合う・合わないだけでなく、それによって生じる肉体への影響なんて、微塵も考えたことがなかった。特にマイナスの影響なんて。
「着るだけじゃない」「泳ぐのは選手だ」。

ということで、読了しました。堂場瞬一『水を打つ』

いやー、マジ面白いっす。彼のスポーツ小説は、『チーム』『大延長』と読んできましたが、今のトコ、これがベスト。

高速水着、という存在をひとつの軸に、アスリートとしての本能、勝利への渇望、肉体への不安が魅力的な登場人物とともに描かれて、本当に引き込まれます。
特にお得意の「競技中の感覚描写」はすごくって、こっちの頭の中も大汗です。

以前何かのコメントで、「競技者にはあまり取材しない」と言っていたような気がするんだけど、ホント?
まるで自身がトップアスリートそのもののような筆致です。

上下巻の分厚い文庫本。なのに、読み進める手がどんどん加速していって、後半になったら読むのが止められない。どんどん読み進みたくなる。気がついたら、「あー、もうすぐ終わっちゃうー」って思ってましたからね。こんなのはなかなかないですよ。

勢いがついて読めるだけでなく、日本の政治力不足への批判も含めた作者の思いみたいなものも伝わってきます。

ベタボメですね。あくまで個人の感想ですので、効果を保証するものではありません。なんてな(^^;


*  *  *

そうそう、東川篤哉の『放課後はミステリーとともに』も読了してました。
こっちはニヤニヤしながら、楽しんで読みましたよ。

こんなのミステリーじゃない、なんてお怒りの言葉も聞こえてきそうですが、東川作品は、そう目くじら立てて読むモンではないように思います。まあ、ダメな人はダメでしょうけども、僕は「好み」ですね(^^;

そしてこの作品、正直、「やられた~!!」と思いましたから。

実は坊主1号も読み終えていて、同じように「やられたー」って言ってました(^^;

疲れた心にちょうどいい、そんな一冊。

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