2023年1月20日金曜日

親と子の苦いミステリー。

『なんにも知らねぇくせに』

中学生の息子から投げつけられる言葉。
物語の中のセリフとはいえ、僕もひとりの親として何かを突き付けられたような気持ちになる。さすがに自分の子を疑うようなことはなかったとは思うけど、はたして知ることはできていたのか、ちゃんと知ろうとしていたのか――。

そんな父親の視点で描かれる、岡嶋二人「チョコレートゲーム」を読む。


ある日始まる中学生の息子の反抗期?非行?奇行?
そういう話というだけでもとっても身につまされてしまうわけだけど、物語はさらに意外なほうに転んでいく。連続して起こってしまう事件、容疑者、そしてアリバイトリック。

何度も何度も立ち戻りながら読み返した。それほどに緻密なミステリーだった。
作中の「父」と同様に「そんなはずはない」と思いながら読んだけど、結局僕には謎は解けずじまい(無念)。
「チョコレートゲーム」そのものは実際にありそうな話で、ちょっと背中が冷たくなった。

ただ結末まで読んで思ったのは、登場する中学生たちすべての「親と子」の物語だったのだということ。後味そのものが「甘いチョコレート」のような話ではなくて、その「苦さ」が残る。

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ふと、昔どこかで聞いた言葉がよぎる。

“子供は親が思うよりも3年早く大人になる。ただそれは本人が思ってるよりも5年遅い”


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