2017年12月27日水曜日

探偵は園長先生。

新宿・歌舞伎町にある無認可保育園。そこにはさまざまな事情を抱えた子どもたちとその親がやってくる。そして園長は別の顔を持っている――探偵。本業はあくまでも園長。だがその経営を支えるためには危ない仕事も引き受けなきゃならない――欲望渦巻く街において、保育園も探偵も必要とされる存在なのだ・・・。

という設定の柴田よしき「フォー・ディア・ライフ」を読了。ずーっと前に本屋のポップが気になってメモってた一冊です。
繁華街の顔役で表も裏も知る主人公は、ちょっと東直己の「ススキノ探偵シリーズ」の「俺」を思い出したり(^^;

ハードボイルドな空気はあるけれど、保育園という場面設定もあるのか、どこかで柔らかい。ミディアム・ハードボイルドってとこかしらね(←それ半熟だろ)。

でまあ同時多発的にいろんなことが起こるわけです。本業のほうでも副業のほうでも、そして園長自らの私生活においても。
歌舞伎町という舞台だから、とにかく人種のごった煮だ。国籍という意味だけでなく、表とか裏とか、光とか影とか、ジェンダーとか、あらゆる人種の「生」がそこにあって、それがすべての事件の本質にある――そんなことが描かれてるように感じました。

そういうものが、こうあっち行ったりこっち行ったりしながら、最終的にひとつの場面に収れんしていく。なかなか美しいです。

読み終わって思ったのは、「男」がすごく魅力的に描かれているんだよね。たとえ社会的にダメな人でも。男だけでなく、いわゆるマイノリティの描き方も優しい。

「うまいこと描くもんやのぉ」などと思ってたら、女性作家さんだったのね(驚)。
そうか、女性が描くハードボイルドってこんな感じなんだなーって。

なるほど。

*  *  *

もう一冊、もはやマイ定番な東川篤哉「純喫茶「一服堂」の四季」も。
いわゆる安楽椅子探偵モノで、四季を通じて発生する4つの事件を、一服堂を営む「安楽椅子」さん(「あんらく・よりこ」って読む。相変わらずふざけてますwww)が謎解きする、というもの。
おなじみの軽やかな会話劇は楽しいのだが、肝心の事件のほうが「??」だった。どうした・・・と思ってたら・・・うわ~だまされた~!

さすが。

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