仕事帰り、電車は最寄り駅のホームに滑り込む。僕はいつもの場所、開くドアの反対側のドアに寄りかかって本を読んでる。
電車が完全停車して、ドアが開いたところで本から目を上げる。
だって、もう家の近くまで帰ってきてる。急いだってしかたない。いつも降りるのはほかの乗客が降りた後の一番最後。大人の余裕ってやつだ。
本にしおりをはさんでかばんに放り込む。服に引っ掛けてたメガネをかける(いや、メガネ外してないと本が読めないんだよ。ちぇっ)。そして歩き出す。
プルルルルル
発車のベルが鳴っててもあわてない。大人の余裕ってやつだ。
プシュー
え?何?
バン!!!
ドアにはさまれたあぁぁぁぁぁぁ!!
降りるには降りたけど、ホーム中の視線が集まってる気がする・・・い、いたくないんだからね。ぜ、ぜんぜんへいきさ。べ、べつにきにしてないし。
顔から出る火を必死に抑え、無理やりに口笛でも吹きそうなすまし顔を――駆け込み乗車に失敗した、あのときの顔を作る。大人の余裕ってやつはどこいった(笑)。
危ないですから駆け込み降車はおやめください。はい。
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