2013年6月4日火曜日

最強のシャドウ・キャビネット。

室積光「史上最強の内閣」を読了。「あ、『都立水商』の人か」と読後に気づく(^^;

日本がピンチだ。やって来たのは本当の内閣!!・・・とまあ、そんな感じ。なので、愉快痛快抱腹絶倒系のおちゃらけ小説だと思ってた。

が。

思いのほか、硬派。相当に現実を下敷きにしているせいで、世界情勢を含め、いろいろなことを考えさせられる場面が多々。

いくら読者数が僅少とはいえ、政治的な主義主張をブログという公の場で語るというのは趣味ではない。だけど、この小説はおもしろい、と言ってみたい。なんというか、溜飲が下がる部分が多いんだ。著者の主張もわかんなくはないけれど、逆にちょっと書きすぎ、と思うとこもアリ。

夢物語だとは思う。思うけれど、「平和っぽい」世の中に生きている僕たちが、実は・・・という場面に現れてほしい、いわばヒーローものなんだとも思う。
アクが強くて個性豊か、ブレてないから強烈な発言も自信満々、そしてもちろん結果も出す。まさにヒーロー像そのものだ。

いろいろ考えながら読んでたら、読んでて一瞬、現実社会と混濁した。
ちょうど、読んでる横でラジオからアジア情勢のニュースが流れてきてね。ちょっと二条政権の活躍に期待しちゃったじゃないか(^^;

もちろん予想を超える展開で、最終的には実にエンターテインメント。そしてドキドキハラハラのラストシーン・・・。おおっ。

そして迎えるエンディングは・・・「サザエさん」「島崎藤村」という2つのキーワードには完全にヤラレた!
実に素敵な読後感が心に残った・・んどすえ(^^;

それだけに、「解説」にガッカリ。いい読後感が台無し。ぷんぷん。

これアメリカあたりが舞台だったら「ザ・キャビネット」とかタイトルつけて映画作っちゃったりするんだろうけど、日本の場合は無理だろうな・・・でも作中に出てくる記録映像は見てみたい。

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