「おっ、やっと文庫になったか」と喜んで買って帰ってきて(実はずいぶん前に文庫になってたのを知らなかっただけ)、そこで帯に『映画化』の文字を見つけて、そしたらテレビに宣伝で神木隆之介と中村倫也が出まくってて、おかげで読んでる最中、映像が頭に浮かぶ浮かぶ。よくも悪くも。
という感じで読んだのが小川哲「君のクイズ」です。
クイズ番組で、問題文がひと文字も読まれる前に正解を導き出した男。
はたしてそれはテレビのヤラセなのか、あるいは回答者が魔法使いなのか。
その戦いで敗れたプレイヤーが真実を追い求めていく――。
「奇跡」が起こったそのクイズ番組のシーンを振り返る。そのとき自らは何を考えどう答えを求めていたのか、そしてそう考えるに至る過去の経験を紐解きながら。
相手は何を考えていたのか。その思考の過程を推理しながら。
もちろん物語はフィクションなんだけど、クイズ番組そのものやクイズプレイヤーの思考過程とか、妙なリアリティを感じてしまって、この「ゼロ文字回答」が実際にあったことなのではないかと錯覚していまう。
そのぐらい、引力の強い作品だと思った。
『傷つき、悩みを抱えた友人に、どんな言葉をかければいいだろうか(略)どんな答えを出すかは人それぞれだが、なんにせよ僕たちはボタンを押す。』
敗者となった三島は、やがてひとつの「真実の可能性」にたどり着く。
その真実は、まぎれもなくクイズの文脈の上にある「正解」のはずだった。
緻密に、そして論理的に導いた回答なのだからと、読者である僕も思ったさ。
「君のクイズ」とはそういう意味かと納得したりもしつつ。
が、その向こうにあった真相は・・・・きゃー!
もしかしたら、この作品は「後味悪っ」なイヤミスに分類されるミステリーかもしれない。
広く見れば現代社会への風刺とも取れるような気さえする。
でも決して救いがないわけではなくて、言い方が難しいんだけど、真摯に地道に生きる者への敬意みたいなものがちゃんと表現されているようにも思えて、それが僕にとっては救いだったように思う。
イッキ読みでした。
ちなみに・・・ゼロ文字回答の“ママ.クリーニング小野寺よ”は僕も検索した(笑)。
0 件のコメント:
コメントを投稿