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葬儀から一夜明けた。
前夜、ホテルの自室で葬儀社でもらった区役所発行の「遺族のためのガイド」を読んではみたのだが、イメージしていたよりもかなり煩雑で、加えて疲れもあったのだろうか、まるで頭に入らなかった。チェックリストを作ろうとPCも広げてみたのだが、気力も湧いてこなかった。
今日の午後、グッドライフに訪問して医療保険証や介護保険証を返却してもらい、それを区役所に返しに行けばいい、ぐらいに考えていたのだが、どうも手続きがいろいろと他にも必要そうだ、ということだけは理解した。
ならば二度手間になる可能性もあるが、先に区役所で必要な手続きや書類などを確認し、その上で保険証を返却に行ったほうが間違いがない。
そう思ったわたしは、まずはマサさんの住民票が置かれている区役所に向かうことにした。この日は朝から雨。ホテルを出たところで傘を買って。
最初に向かったのは保険年金課。わたしが手に持った「遺族のためのガイド」を見て、案内係の方がすぐに端末を操作して番号札を渡してくれた。
「一昨日父が亡くなりまして」
「お悔み申し上げます」
「それで、老人ホームにいたものですからこの後そちらから保険証などを返却してもらってこちらにお持ちするつもりでいるのですが、そのほかに必要なことがあれば事前に教えていただければと思いまして」
福祉・介護保険課の窓口でも同じ会話を繰り返した。
後期高齢者医療保険証、介護保険証、介護保険負担割合証の3点セット、障害者手帳も返却する必要がある。保険証はちょうど切替のタイミングだったので、新しいものの郵送手配が済んでいるしまっている場合は、届き次第改めて返却する、ということになった。
さらに葬儀の補助金が下りるとのことで、火葬証明書を持ってきてほしいとも指示された。
火葬証明書は「なくならないように」と火葬場の係員の方がわざわざ骨箱に入れておいてくれたものか。骨箱はあっちゃん部屋に置いてあるから、取り出さないとな。
「年金関係は区役所では扱えないので年金事務所にご連絡をお願いします」
そうなのか。年金課とはいったい何などと憤ってもしかたがない。
最寄りの年金事務所に電話をかけてみることにした。
ざっくり言うとマサさんがもらっていた年金が、遺族年金として今度はあっちゃんに支払われること、それには諸々手続きが必要で、年金事務所に面談の予約を入れて相談してほしい、ということなどを聞いた。
『今だと7月30日に予約が入れられますが』
「すいません、この地域の住人ではないもので、その日は」
『手続きは日本中どこの年金事務所でもできます。では今日は記入していただきたい書類だけお渡ししましょうか』
「ありがとうございます。助かります。たぶん20分ぐらいで伺えると思います」
地元の人ならバスなりを使う距離なのだろうが、土地勘がないわたしはスマホのナビを頼りに年金事務所に向かって傘を差して歩いていく。
「お待ちしていました。こちらが書類一式です。この書類はお父様が入居されていた施設の方に記入いただくことになると思います」
到着するなりすぐに書類をもらうことができた。
普通のことなのかもしれないが、わたしのために準備してくれてたと思うと、すごくありがたい。年金事務所に対する好感度が上がったとでも言おうか。
「ありがとうございます。確認させていただいて、改めて手続きさせていただきます」
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