著者には失礼な言い方にはなるのかもしれないが、「今読んでるこの作品を書いてるのは太宰本人なのではないか」「もともと走れメロスとはこういう話だったよな」、そう錯覚(誤認?)している自分がいた。
それほどまでにメロスはメロスであって、そして走っていた。
ファンタジーってある意味「騙される世界」のことだとすれば、これはまさしくファンタジーなんだと思う。そしてメロスだから友情の物語でもあるし、もちろんミステリーでもある。
とまあそんな感じで?、五条紀夫「■人事件に巻き込まれて走っている場合ではないメロス」を読む。
例によって怖い漢字は伏字です。
五条作品は「クローズドサスペンスヘブン」以来なのだけれど、いい意味でまるで別人が書いているような筆致。今作はユーモアミステリーだよね、うん。
とにかく事件を解決しなきゃならないメロスは、いわゆる“脳筋”なフィジカル野郎で、そんなやつにはたして推理できんのか、という緊迫感(?)が実に楽しくファンキーに描かれていく。なんやかんやで真実にたどり着くのだから名探偵でもある(笑)。
そのファンキーなユーモアの一端を担うのが登場人物の名前。原作メロスには登場しない人物はもちろん、名前が与えられてなかった(だったよね?)人物にも実に楽しい名前が付けられている。少し引用させていただく。
『登場人物の名は、適当である。ギリシア語は(略)男の名は語尾に男性名詞を示す「ス」が付く場合が多い。その文化のみに倣って、作中の人物たちは雑に命名されているのである。』
個人的には“キラレテシス”が一番のツボ。「テシス」って語感が最高!
あとは“ムコス”もなかなか。
そして満を持して“オサムス”登場!!恥の多い人生だったそうですよ(笑)。
さらにはところどころに歴史小説的な緻密な史実のご紹介まで。勉強になるわ~。とか言いつつ、これがなにがしかのヒントなのではないかと疑いつつ読んだり(^^;
とにかくバラエティ豊かなファンタジーで友情物語でコメディなミステリーを最初から最後まで堪能させてもらいました。楽しかったよーーー。
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ネタバレしないように書くの難しいんだけど(汗)、“本格ミステリー”たる最終章のラストに、「おお、やはり」と思う事実が明かされる。グッと来ちゃうねぇ!!
まあイマジネーションはファンタジーには欠かせない部分だもんなー(意味深)。
僕自身は第一の事件のときからあれは疑ってたからね(えっへん)。
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