2014年8月7日木曜日

謎の扉は開けなかった。

倒叙ミステリーなので冒頭から犯行シーン。それを読みながらふたつのことを考える。

ひとつは文章というかミステリーそのもののこと。
情景描写に“あえて”いろんなもの(伏線)が散りばめられているような印象。ときに戻りながらじっくりていねいに読んでいく。

もうひとつは動機というか設定のこと。
大学時代のサークルの仲間、まさに寝食を共にしたその仲間を・・・自分自身に置き換えて、冷たいものがちょっと走る。流行の言葉で言えば「腹心の友」か。「何か」を問い掛けられているような気分になる。

というわけで、石持浅海「扉は閉ざされたまま」を読了。石持作品は「まっすぐ進め」に続いて2冊目だ。

犯人のミスの1つは発見した。ふっふっふ。ていねいに読んだ甲斐があったってもんだ――勝ち誇ったような気分で読み進めたんだけど。

あれ?だんだん疑問が大きくなってくる。
犯人はなぜ「そうする」必要があったのか。犯人は「そこ」に異常なまでにこだわりを見せていたのか。論理的な理由が見つからない。深い謎は扉の向こう。

・・・見落としたか・・・もう残りは1/3なのだが・・・よし、読み直し。

だがそれを意識して読み直してみても理由がわからない(大汗)。くそぉ・・・。

だが物語の中の探偵役は、見事にそこに答えを出した。
ああそうか、犯行シーンではなく、その後の会話劇の中にこそヒントがあったのか。周辺には考えは及んだけれど、核心には程遠かったみたい(^^;
いやー参った参った。

その答えと同時に明かされた「動機」、ちょっと納得いかねーなー、と思ってたら「解説」に解説があった(^^;

ところで探偵役の女性、非常に魅力的に描かれているのだけれど、もし身近にいたとしたら・・・うーん、考えちゃうかも。
知的な女性はすごく素敵だと思うけれど、目が笑ってないとか、どこかで醒めてるみたいな感じは心の底から好きにはなれないのかな、などと思ったり。
もちろんそこに事件があったからなのかもしれないが・・・ラストシーンでわかるその意図が良くも悪くも怖い怖い(^^;

この動機とキャラクターの問題で、この作品の好き嫌いが分かれそうなんだよね。

などと言いつつ、その女性が再び登場するシリーズ続編「君の望む死に方」を読み始めてたりするわけでして。Mなココロが揺れ動く(爆)。

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