信州の巨大スキー場。ゴンドラが2本あって、山頂に行くには長いほうのゴンドラから数本リフトを乗り継がねばならない。その名も里沢温泉スキー場!
はい、もうおわかりですね。「予」が足らん(笑)。
ブナの林、日向ゲレンデ、信州菜坦々麺が名物の「三つ葉食堂」という店(^^;
その村を巻き込んで展開するサスペンス、東野圭吾「疾風ロンド」。予告どおりに買いましたよ。
何が微笑ましいって、20数年ぶりにゲレンデにやってきた父親が、現役ボーダーの息子(中学生)にいろいろと“イマドキのスキー事情”についてレクチャーを受けるシーン。
そこのあなた、これだけでも読んでおいてっ(笑)。
それはさておき。
字、でかっ!つまり、本の厚みに比して実際の話はそんなに長くないってことですよ。
サスペンスと言えどもそう緊迫感はないし(わざとだと思うんだけど、ときどき物語に挟まれる東京との電話のシーンで緊張感がゼロになるのです)、悪役はみんな「小物」だし、ある「病」のことで少しだけ不安を煽られるものの、まあ総じて内容は軽いかな。
「ロンド」らしく登場人物は多いけど、ひとりひとりがすごくわかりやすかった。特に中学生の心情はなるほど~と思わされる。
そして「疾風」、スキーやスノボの滑走感はさすが!やってる人の文章だなー。まさにやまびこゲレンデにいる気分に浸れる(^^;
スキー場やそこに暮らす人々、スキー・スノボに対する愛情あふれる一冊、そんな言い方もできるかもしれない。
でも、それ以上に著者は「大震災以降」について語りたかったのではないか、そんなことも思ったわけで。
ラストのどんでん返しも含め、「軽い」ではなく、「軽やかな」気持ちで楽しめました。僕のホームゲレンデが舞台なので採点甘々かもしれませんが(^^;
映像化、ぜひ!!エキストラで出たい!(笑)
最後に、スキーヤーとしての僕に刺さった一節を。
『三キロを超えるロングランを味わい、山麓へと降りていった。爽快感はある。しかし秀人は、やはり何かが物足りなかった。
もちろん理由はわかっている。昨日までが楽しすぎたのだ。このスキー場自体が素晴らしいのはいうまでもないが、やはり「誰と滑るか」というのも大切な要素なのだなと改めて痛感していた。』
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