2016年12月22日木曜日

現代版さるかに譚。

キョンキョンのオススメ第15弾、吉田修一「平成猿蟹合戦図」を読了。

話にはもちろんサルもカニも出てこない。じゃあなんでこういうタイトルなんだろうと考えながら読み進める。

そもそものさるかに合戦では「悪い奴=サル」がいて、その悪いやつを懲らしめる話だが――記憶違いしてると困るな。Wikipediaでチェック。うん、間違ってなかった(^^;
そこにはキーワードも記されてた。それは「因果応報」

ただ、サルの最期がなかなかに凄絶なので、少しだけ思うんだよね。「何もそこまで」と。

そういう印象をベースに読み進んでいくと、とある事件を起こした中心人物の“転落する未来”が鮮明にイメージできてしまって、だけどもそのイメージに対して「何もそこまで」と思う読者としての感覚も芽生えてくる。本当に悪いことをしてるのに、その悪いところが希薄になってきて、あげくに肩入れしながら読んでしまうような。

そう。そういう話だ。

でもね、本来、さるかに合戦とは「痛快」でなければならないはずだ。

・・・と思ってたら、物語は超意外な方向に展開、ちゃんと「痛快」なエンディングに向かうのよ。だってサルだと思ってた奴じゃない、別の奴が真のサルだったから(ネタバレしないように白文字)。

「何もそこまで」と一切思わない、スカッとするお話なの(笑)。さすがに驚かされたわ~。

・・
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田舎のばあちゃんが言ってたセリフが頭に残る。

『スカッどする話さは毒っこ入ってらど』

めでたしめでたし。

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