前々から気になってたんだよね、道尾秀介「カラスの親指」。詐欺を生業とするタケさんとテツさんのコンビ――カラスというのは詐欺師を示す隠語らしい――は、それぞれ「自分のせい」で家族を失ったという重く辛い過去を抱えている。
その過去から逃げるように、おびえるように生きるふたり。
だが、その周辺に「過去」の影がちらつく――。
過去を乗り越え、そして明日を切り拓くために、カラスたちが挑む大勝負「アルバトロス作戦」!!
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いやー、まいったなぁ。
詐欺師が主人公だから、それなりに二転三転するんだろうという理解をしつつ読んでたわけさ。「コンゲーム」という単語も何度か出てくるし、トリックもそこここに散りばめられているだろうと。
でもね。想像の遥かに上。これはもう唸る以外にない。
感情を文字にするなら「わくわくどきどきはらはらうわーーーっ!」。
物語のベースとなる彼らの過去は、重くて辛いがゆえに漂っている空気感は澱んでいる。沈んでいる。なのになんだこの痛快さは。
おまけにエンディングで感動までしてしまう・・・なんてこった。
さらに言えば、ラストの「解決・解説」的な部分が明快かつ親切。爽快感まで感じたりするんだ・・・なんてこったい。
解説にも書かれていたが、まさに「詐欺」ではなく「マジック」。
それにしても・・・カラスの「親指」か。としみじみ。
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