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マサさんが年会費も払わずに保持していたゴルフ会員権。ようやく再発行された会員証と会員権の証書がわたしの手元に届いた。ずいぶん時間がかかったな。
すでにゴルフ場には売却の意思を伝えてあるので、その手続きを進めるのみ。
手続きはいわゆる売買業者に頼めばいいとは聞いていたものの、さてどうしたものだろうか。
当然ゴルフ場のある地元の業者に頼んだほうが、ゴルフ場との関係性も含めて具合が良さそうな気はする。しかしわたしとの物理的な距離が遠すぎると、そこに手間がかかりそうにも思える。
結局、大手かつ全国展開している業者に頼むことに。本来は相見積もりなどを取りながらきちんとやるべきなのだろうが、このころのわたしには「めんどくさい」という思いしかなかった。一社のみに絞って交渉することにした。
まずはホームページから問い合わせを出した。
「○○の正会員であった父が先般死去いたしました。遺産分割協議書により、会員権は私が相続することになりましたが、会員権そのものは不要であるため売却(現金化)をしたいと考えております。手続きにつき、ご相談させていただきたくお願いをいたします。
ホームページのQ&Aに書かれていた書類はひととおり用意できるかと思います。遺産分割協議書のみ現在他の相続手続きのため原本が手元にありませんが、追って戻ってくる予定です。」
これに対して即日返信がある。
『お問い合わせありがとうございます。ご譲渡の際の必要書類及びご売却可能な金額をお調べいたしまして、ご連絡させていただきます』
担当者が決まったというのはありがたい。そしてその翌々日、「準備するべき書類」「記入する書類の一覧が添付されたメールが届いた。
『金額については、買い手が少ない状況ではありますが、可能な限り交渉いたします』
この一文にわたしは引っ掛かりを感じた。もし買い手がいないとなるとどうなるのだろう。
「もし買い手がつかないような場合はどうなるのでしょうか。当方としては価格より、早期に手続きを終えられればと考えております」
先方担当とは電話でも話をした。
『ホームページには買取価格○○万円と記載されていますが、その金額だと難しいかもしれません』
「どちらかというと金額よりも手放したいというほうが優先です。いきなり半額以下になるというなら話は別ですが」
『いえいえ、さすがにそこまで安くなることはないです。数パーセントでしょうか』
「それならまったく問題ありません。ぜひその前提で進めてください」
それから譲渡約定書に記入して返送するなど、数度のメールのやりとりを行い、約1ヶ月後、ようやく買取手続きが進められることになったと電話がある。
『価格ですが、○○万円でいかがでしょうか』
事前に聞いていた金額よりもずいぶん安い。数パーセントではなく数割減だ。
「しかたないですね。その金額で進めていただければと思います」
『ありがとうございます。それでは最終的なお取引のため、一度当店までお越しいただくことはできますでしょうか』
次の休日、某所のゴルフ用品店の一角に机を置いた売買業者を訪ねた。
会員証と会員権、約定書の原本を渡し、確認書類を受け取り、ものの10分ほどで取引は完了し、翌日その代金の入金も確認できた。
未払いだった年会費の請求書を見つけたことで、マサさんがまだ会員権を持っていることがわかってから1年半。
ようやく決着である。
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