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6月9日、この日は朝からナカジマ不動産のイノマタさんとのオンラインミーティング。
事前に送ってもらっていたマンションの売却の契約書類について、読み合わせながら手続きをしていく。
考えてみれば、不動産売買なんてこれまでなら間違いなく対面でしか手続きできなかっただろう。物理的な距離を超えて互いの顔と書類を見比べながら話を進められる、こうした環境が整ったということが本当にありがたいことだと改めて思う。
『売買の手続きを行っている間に、私どもとしては先にサイトなどで物件を紹介していきたいと思います。その中で登記の移転が完了する前に、新しい買主様が現れた場合は登記を直接そちらに移す、というための確認書類がこちらですね』
「なるほど、費用の問題もあるでしょうからそれはそれでかまいません」
後日、こっそりナカジマ不動産のホームページを見てみたところ、マサさんのマンションと思われる物件が掲載されていた。詳細は「会員限定公開」だったので実際にいくらの値段なのかまではわからなかったのだが。
「・・・えーと、これで問題ないと思います」
『では押印をお願いします。ひとつめが4枚目の・・・』
契約書類はすべてスキャンデータとして残し、原本はその日のうちに投函をした。
この後は登記を行う司法書士とマサさんの面談、そして残金の入金をもってマンションの売却の手続きは完了となる予定だ。
まだ終わったわけではないが、わたしにとってはひとつの小さな山を越えた日でもある。この日の夜はなんだか久しぶりによく眠れたような気がした。
そして翌々日、わたしは昼休みに銀行まで出向いてマサさんの口座の通帳記入を行い、には早速手付金が入金されたことを確認した。
心配なのはマサさんと司法書士の面談だが、間にグッドライフの皆さんが入ってくれるだろうから、まあ大丈夫だろう。
そのグッドライフからの着信がある。
『今日、お母様の以前から通われているクリニックに付き添って行ってきました。ご自身は「ひとりで行けるわよ」とおっしゃっていましたけど』
もちろん、ひとりで行けるわけはない。何しろ自分がどこにいるかもはっきりとはわかってないのだから。所持金もないし。
「ありがとうございます。今後もお手数をかけますが引き続きよろしくお願いします」
こうしたひとつひとつに対しても、わたしからすればやはり感謝の念が湧く。いつかあっちゃんも自分の置かれている状況を認識した上でスタッフの方に「ありがとう」と言ってくれる日が来てくれるといいのだけれど。
ところで、わたしが仕事を終えて家に帰ると、毎日のようにマサさんあっちゃん宛の郵便物が転送されて届いている。
曰く今年度の会費を納めてくださいというものが意外と多く、ひとつひとつに対して返事を書いたりメールを打ったりの対応をしている。
『本人は介護施設に入居しておりますので、退会ならびに名簿からの削除をお願いします。(長男)』
この文言もすっかり書き慣れてしまった。
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